シードゥ230WAKEは日本国内では、2007年~2012年までの5年間販売されておりまして、中でも希少なのが、2011年と2012年の2年間のモデルです。
2011年&12年モデルの特徴ですが
①前傾斜になり、可倒式になったウェイクタワー
②大容量インタークーラー搭載で馬力が255馬力×2基=510馬力
③ワイヤー式だったスロットル系統が電子制御になり、クルーズコントロールやドックモードなどの細かなスロットルワークが可能に。
この3つの変更点で現代版のモデルになり完成度が高くなったんですよ~
この2011年モデルは国内ディーラー販売の新艇ワンオーナーで、アワーが320時間と少し多め。逆を言うとマリンライフを長く楽しまれた軌跡とも言えますよね~
それぐらい良いモデルってことなんです。
だから~
アワー多めのこのセミファイナルを230WAKEが大得意なジェットスターが大規模メンテナンスを施せば、さらにさらに長く乗っていただける230WAKEにリメイクできる!
ってことで、キッチリ作業を進めたいと思います~
さて
エンジン関連を取り外す前に、今しかできない電気系統の点検を行います。
ステアリングケーブルNG
温風ヒーターNG
船内ライトNG
スピーカーNG
エンジン始動は問題なし
でも、右舷のジェットポンプがゴロゴロ鳴いてる
メインハーネスを取り外してしまうと、このあたりの確認ができなくなるので、動画に納めてアーカイブしておきます。
このセミファイナル、樹脂製のチークデッキが施されてますが・・・
これ、80万円ぐらいする高価な艤装なんですよ。
樹脂デッキ貼るだけで80万円ですよ、80万。
80万あったら、だいたいやりたい遊びや買いたいモノ買えますよね・・・
恐るべしカスタムです。
さて
まずは、エンジン整備の第一歩、リアハッチを取り外しまして~
右舷のパーツと左舷のパーツを色違いのカゴに入れて
ガシガシ取り外していきます
230WAKEのスミから隅まで知り尽くしますので、躊躇なくドンドン進めて行きます。
ジェットポンプは、しばらく取り外していなかったようで、重要な部位のボルトがガッチガチに固まっていましたので、ポンプの根本からゴッソリ降ろすことにしました。
あとからゆっくり分解したいと思います。
ハイ。
こんな感じで、右舷、左舷の部品たちを取り外すと、片側で5ケースぐらいです。
このパーツたちは、パーツセンターのスタッフさんにクリーニングしてもらいます。
さてさて
特殊工具で、左舷のドライブシャフトを固定し
カーボンリングとサポートリングと言う部品たちを取り外していきます。
整備マニュアルには、この特殊工具を用いて、外しなさい。と書かれていますが、その手順で取り外せる中古ボートは少ないです。新艇から5年ぐらいまでじゃないかな?マニュアル通り取れるのって。経験上ほとんど取れません。
お。でも、左舷エンジンは予想していたより、苦戦することなく、サポートリングをスライドさせることができました。おそらく過去に整備されたコトがあるんでしょうね。
もしも新艇から1度も整備されていなければ、絶対に外れませんので・・・
そして、お次は反対の右舷。
ん!?
ですよねぇ~、左舷のサポートリングはガッチガチです。
まったく動きません。
ココは最後の最後に着手することにします。
左舷側エンジン~
降ろしていきます~
なんだかこの光景も、見慣れてきましたので
ちょっと臨場感ある画角に変更して撮影してみました。
ひとまず左舷側エンジンが降りて~
すぐさま、クリーニングスタッフの元へ~
エンジンハーネスやインテーク系統を取り外しまして
お?
プラグホールにオイルリークして3本中2本がオイル漬けになってました。
このまま放置すると失火する可能性もありますので、もちろんキッチリ直します。
その他にも、吸気温度センサーやオイル圧力センサーなど新品に交換して、センサー関連をリフレッシュさせます。
シードゥのエンジンは、本体の耐久力が高く、500時間とかでもぜんぜんイケますが、センサー関連がボケると、ピーピー鳴りまくるので、ボケる前に新品に交換です。
と、ゴム製のシールやパッキン系統も、年数経過で漏れなどが発生し始めますので、そこらもキッチリ手を入れます。
さて、続いて右舷エンジンです。
サポートリングが外れないので、ドライブシャフトは船体に残したまま、エンジンを吊り上げていく方式にしました。
この方法ができないモデルもありますが、セミファイナルはなんとかイケそうだったので、シャフト残し吊り上げを選択。
今までの経験値がモノを言う作業です。
上手く吊り上げることができました~
動画を撮影する余裕すらあるんですよねぇ~
はい。
ということで、右舷エンジンも摘出完了~☆
2基のエンジンがいなくなった船内は・・・
300時間を楽しんだ思い出が、ビッシリですね。
さて、右舷のドライブシャフトをよく見てみましょう~
はい。
そりゃ 外れないだろうなぁ~ってお分かりいただけますよねぇ
なかなかのサビ具合です。
本来なら、蛇腹ホース側にスライドさせることができて、内部にあるC型クリップを取り外すして、シャフトをフリーにするんですが
左舷側はC型リングが外れましたので、キレイにシャフトを外すことができてます
キレイにって言っても、なかなかの汚れぐらいですけど・・・
蛇腹ホースに残っている黒檀色のリングがカーボンリングと呼ばれるパーツです。
エンジン始動している間、常に摩擦している部品なので、もちろん新品に交換します。
っと。
エンジンルーム内に入ったビルジ(不要な水)を排出する電動ポンプです。
このULTIMA BILGEは、内部の部品が外れて、モーターは回っていても水を吸い上げなくなるコトがあるので、取り外して対策しておきたいと思います。
エンジン乗っていると、ちょっとアクセスしにくいトコなので、エンジンがなくなった今が快適に、そしてイイ仕事ができるタイミングです。
他にもヒューズボックスとか、燃料ポンプ、バラストタンクのホースや電動ポンプなど、点検できるところは徹底的に手を入れていきます。
ここまでのやるショップはディーラーさんでもいらっしゃらないんじゃないかな~と。
だからこそ、ジェットボート専門店のようなウチが手掛ける必要があると思っています。
さてさて、クリーニングスタッフさんに預けたエンジンはと言うと~
おお~二人がかりで、ガシガシきれいにしてくれてます~
クリーニング作業は、とにかく手作業です。
男性では、なかなかやり切れない細かな作業を女性スタッフだからこそ、根気よく作業してくださるんです。
その一幕を動画でご覧ください。
もう、ただただ 感謝 の一言しかありません。
2基のエンジンの汚れをはがして、ブラックに再ペイントしますが、その作業も女性スタッフさんのほうが、細かくキレイにやっていただけるので、ホントに助かります。
さて、お次はスーパーチャージャー。
白く粉が吹いてまして、大丈夫!?と言いたくなるような見た目ですが・・・
大切な部分は、オイルに守られてますので、とてもキレイです。
スーパーチャージャーの耐性があるかどうかを調べるには、クラッチのスリップトルクを計測します。作業に夢中で撮影し忘れてしまったのですが、見た目とはウラハラに・・・
左舷のスーチャー 8.7Nm 基準クリア☆
右舷のスーチャー 8.5Nm コチラも基準クリア☆
そりゃ300時間も楽しんでるんですから、1度や2度はクラッチ交換してますよね~
バッチリ規定値ありますし、純正のオーバーホールキットを使用して組んでいるようですので、次のメンテ時期は500時間ぐらいでしょうか。。。あと180時間ぐらいあります笑
2014年以降のシードゥのスーチャーが壊れるコトは、ほとんど無くなりましたからね~
さてさて
今回、長文で230WAKEセミファイナルの整備記録を書かせていただきました◎
せっかく大規模メンテナンスを施しますので、その内容をブログに残して、次のオーナーさんが安心して購入していただけるようにと、整備メインのブログにしております。
次回のメンテ記録をお楽しみに~