ヤマハ3人乗りのエンジンブロー

 
これは、ヤマハの3人乗りモデル1200ccエンジンのピストンである。
 
ご覧のように、ピストントップは正常な状態でなくなっている。
 
 
ピストン側面、ほぼ全周ズタズタである。
 

     
 
 
ピストンがあれほどに痛んでいるということは、シリンダーも当然キズだらけである。
 
 

     
 
 
シリンダーをあのような状態にしてしまうと
シリンダー下部に位置するクランクケースも当然ながら傷を負ってしまう。
 
 

     
 
 
ここまでのエンジン状態にした原因は、これ。
 
クランクケース内部にある、クランクシャフトの焼け付き。
 
 
過酷な使用環境により、コンロッド大端部がオイル切れを起こしたような状態となり
 
コンロッドやベアリングが摩擦熱で鉄粉を発生させる。
 
その鉄粉が、ピストンリングやピストン側面を包み込んでしまうと
 
オイル切れのような状態にしてしまい、摩擦熱を発生させて、お互いを傷付け始め
 
その結果、ピストン、シリンダー、シリンダーヘッド、クランクシャフト、クランクケースを壊してしまう。
 
簡単に言うと、エンジン全損である。
 
 
 
エンジンに詳しい人なら、さまざまな原因を考えると思われるが
 
このエンジンを傷ませた直接的な原因は、ジェットポンプ内部への石かみである。
 

     

 
 
ジェットポンプに石をかませたことで、エンジンが全損に。
 
なかなか想像しがたいかも知れないが、ジェットスキーでは良くある出来事。
 
 
 
①浅瀬などで、ジェットポンプに石をかませて、プロペラを傷つける
 
②プロペラに大きな傷を付けてしまうと、推進力がなくなってしまい、ジェットスキーは正常に前へ進まない
 
③まともに前へ進まない状態のジェットで帰還しようと、操縦者はエンジンに負荷をかけ始める
 
④ジェットポンプから冷却水を得るジェットスキーは、推進力がない状態だと、冷却水の流量が極端に減る
 
⑤冷却水不足の状態であるのに、なかなか前へ進まないからフルスロットル
 
⑥長時間によるフルスロットルで、オーバーロード(過負荷)からベアリング磨耗が発生
 
⑦3気筒エンジンは、熱の逃げにくい真ん中のシリンダーが最も過酷な状況下におかれ
 
⑧ヒート寸前だったエンジンに追い討ちをかけるように鉄粉がピストン&シリンダーに襲い掛かる
 
 
 
 
ただ単に石をかませただけ が エンジン全損 に そして ジェットも全損 にしてしまう
 
 
残酷な言い方だが、石ころだけで ウン十万円のジェットを壊すことができるのである。
 
 
 
このような一連の流れは、ビギナー(初心者)や ちょっと借りただけの友達が起こしやすいのである。
 
 
 
ジェットオーナーのみなさん
 
アナタにとって大切なジェットスキーも 借りた人からみれば所詮 他人のモチモノ です
 
自分のモノじゃないからこそ オーバー
ロード(過負荷)を楽しんでしまい
オーナーが近くにいなければ やさしく丁寧になんて考えは一切なくなります。
 
 
くれぐれもお気をつけて・・・